XBC(X型バックコンタクト)太陽電池技術は、従来の太陽電池と比較して効率を大幅に向上させる革新的な技術です。
独自の構造がもたらす利点
一般的な太陽電池では表面に配置されている電極を、XBC太陽電池では全て裏面に移動させました1。表面には光を効率よく取り込むための特殊な膜を施し、裏面にはプラスとマイナスの電極を交互に並べています。
この構造には三つの大きな利点があります。
- 表面の電極をなくしたことで、より多くの太陽光を受け取れる
- 光の反射を抑える特殊な加工により、発電効率が向上
- 電極が見えない全面黒色のデザインを実現
- 従来技術と比べて高温条件下での効率低下が少ない
高い性能と応用の可能性
XBC技術を採用した太陽電池は、量産段階で25%以上という高い発電効率を実現しています。これは従来型と比べて約2割も効率が良いことを意味します。
また、XBCは単独の技術ではありません。PERC(高効率結晶太陽電池)やTOPCon(高性能シリコン太陽電池)など、他の先進技術と組み合わせることができます。こうした柔軟性により、さらなる性能向上が期待できます。
具体的な製品例
LONGiのHPBC技術を採用したモジュールは、以下の特徴を持っています2。
- 前面にグリッドパターンがなく、美しい全黒の外観を実現
- 前面と背面の両方にハイブリッドパッシベーション層を採用
- 反射防止コーティングにより、さらに洗練された外観に
AIKOのABCモジュールシリーズは、以下の点で高い評価を得ています。
- Intersolar AWARD 2023を受賞
- グリッドラインのない純黒の前面デザイン
- 高効率と美しい外観を両立
世界トップクラスのポータブル電源メーカー Jackery Japanが開発した世界初の瓦型太陽光パネル「Jackery SolarSaga Barrel Tile3」が、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
「SolarSaga Barrel Tile」は、業界最先端の XBC太陽電池セル技術 と独自開発のラミネート成形プロセスを組み合わせた画期的な製品です。
実用化と将来展望
XBC太陽電池の主な用途は以下の通りです。
- 住宅の屋根に設置する太陽光発電システム
- オフィスビルなどの商業施設での発電設備
- 建物の外装材として一体化した太陽光パネル
専門家の間では、2030年頃までにXBC技術が太陽電池市場の主流になるとの見方が強まっています。
2025年には発電効率26.5%の達成を目指す企業もあり、さらなる技術革新が進んでいます。
美しさと高性能を兼ね備えたXBC太陽電池は、環境に優しい未来の電力供給を支える重要な技術として、ますます発展していくでしょう。