太陽光発電を調べていると、「LID(光誘起劣化)」という言葉を目にすることがあります。なんだか難しそうな言葉ですが、実は太陽光パネルの性能に関わる重要な現象なんです。
今回は、この「LID」について、わかりやすく解説します!
LIDって何の略?
LIDは、英語の “Light Induced Degradation” の略。日本語にすると「光誘起劣化」となります。
言葉の通り、「光によって引き起こされる劣化」という意味です。
どんな現象なの?
太陽光パネルは、太陽の光を浴びて電気を作ります。ところが、一部の太陽光パネル(特にP型シリコンを使ったもの)は、長期間光を浴び続けると、徐々に発電能力が低下してしまうことがあるんです。これがLIDです。
なぜLIDが起こるの?
LIDの原因は、まだ完全に解明されていませんが、主に以下の2つのメカニズムが考えられています。
- ホウ素-酸素複合体:P型シリコンに含まれるホウ素と酸素が、光の影響で結合し、電気の流れを妨げる「邪魔者」になってしまう。
- 水素の関与:製造過程でシリコンに入り込んだ水素が、光の影響で動き回り、結晶の構造を変化させてしまう。
どちらの場合も、結果として太陽光パネルの内部で電気がスムーズに流れにくくなり、発電効率が低下してしまうのです。
例えるなら…
LIDを、マラソンランナーに例えてみましょう。
- 新品のパネル: 元気いっぱいのランナー! スタートダッシュで好記録を出せる。
- LIDが起きたパネル: 疲れが出てきたランナー。徐々にペースが落ちてしまう。
太陽光パネルも、使い始めは元気いっぱいですが、LIDによって徐々に「疲れ」が出て、発電量が減ってしまうというわけです。
LIDの影響はどれくらい?
LIDによる発電量の低下は、通常、数%程度と言われています。
「なんだ、たった数%か」と思うかもしれませんが、太陽光発電は長期間(20年以上)使用するもの。数%の違いが、長い目で見ると大きな差になることもあります。
LID対策は?
太陽光パネルメーカーは、LIDの影響を最小限に抑えるために、様々な対策を講じています。
- 材料の改良: ホウ素の代わりにガリウムを使うなど、LIDが起こりにくい材料を使う。
- 製造プロセスの改善: 水素の影響を減らすために、製造方法を工夫する。
- 再生処理: パネルに熱や電流を加えることで、LIDによる劣化を回復させる。
また、N型シリコンを使った太陽光パネルは、P型ソーラーセルに比べてLIDの影響を受けにくいという特徴があります。
まとめ:LIDは避けられないけど、対策は進んでいる!
LIDは、太陽光パネルにとって避けられない現象ですが、メーカーの努力によって、その影響は最小限に抑えられています。
太陽光パネルを選ぶ際には、「LID対策」がしっかりされているかどうかも、チェックポイントの一つにすると良いでしょう。