温度係数とは、ソーラーパネルの温度が変わったときに、出力や電圧・電流がどれくらい変化するかを示す数値です。
仕様表では、Temperature Coefficient、Pmax温度係数、Voc温度係数、Isc温度係数などと書かれることがあります。
一般的な結晶シリコン系のソーラーパネルでは、パネル温度が上がると最大出力は下がります。そのため、Pmaxの温度係数は「-0.35%/℃」のようにマイナスの値で表記されることが多いです。
なぜ温度係数が重要なのか
ソーラーパネルは、気温が高いほどよく発電するわけではありません。
日射が強い日は発電に有利ですが、パネル本体の温度が高くなりすぎると、出力は下がりやすくなります。
たとえば、Pmax温度係数が「-0.35%/℃」のパネルで、パネル温度が50℃になったとします。基準温度の25℃から25℃上がっているため、出力低下の目安は次のように考えられます。
25℃ × 0.35% = 8.75%
この場合、温度だけで定格出力より約8.75%低くなる可能性があります。
ポータブル電源との関係
ポータブル電源にソーラーパネルを接続するとき、温度係数は主に2つの場面で関係します。
ひとつは、夏に入力Wが伸びにくい理由を考える場面です。
定格100Wのパネルを使っていても、真夏の屋外ではパネル温度が高くなり、80W台や90W前後に落ちることがあります。これは故障ではなく、温度上昇による自然な低下である場合があります。
もうひとつは、冬や寒い朝の開放電圧です。
ソーラーパネルは温度が下がると開放電圧が高めに出ることがあります。直列接続でポータブル電源の入力電圧上限に近い構成を組んでいる場合、寒い時期だけエラーが出ることがあります。
温度係数の種類
ソーラーパネルの仕様表には、複数の温度係数が書かれることがあります。
- 最大出力温度係数(Pmax)
- 開放電圧温度係数(Voc)
- 短絡電流温度係数(Isc)
発電量を見るときに特に重要なのは、最大出力温度係数(Pmax)です。
Pmax温度係数の絶対値が小さいほど、温度上昇による出力低下は小さくなります。
開放電圧温度係数(Voc)は、低温時の電圧上昇を考えるときに重要です。直列接続をするときは、寒い時期に入力上限を超えないかも意識します。
短絡電流温度係数(Isc)は、温度上昇で電流が少し増える方向に働くことがあります。ただし、出力全体では電圧低下の影響が大きくなりやすいです。
仕様表で見る場所
温度係数は、ソーラーパネルの仕様表や取扱説明書で確認します。
表記は製品によって少し違います。
- 温度係数
- Temperature Coefficient
- Pmax
- Voc
- Isc
- Power Temperature Coefficient
ポータブルソーラーパネルでは、温度係数が詳しく書かれていない製品もあります。
記載がある場合は、定格出力や開放電圧だけでなく、温度係数も合わせて見ると、夏や冬の挙動を理解しやすくなります。
計算の例
定格100Wのパネルが、夏に60℃まで上がった場合を考えます。
基準温度25℃からの上昇分は、35℃です。
Pmax温度係数が「-0.4%/℃」なら、出力低下の目安は次のようになります。
35℃ × 0.4% = 14%
100Wパネルなら、温度の影響だけで約86Wまで下がる計算です。
Pmax温度係数が「-0.3%/℃」なら、低下率は10.5%です。
100Wパネルなら、約89.5Wが目安になります。
この差は小さく見えますが、パネル枚数が増えるほど、また高温の時間が長いほど、実際の充電量に差が出やすくなります。
注意点
温度係数は、ソーラーパネルの発電傾向を知るための目安です。
実際の発電量は、温度だけで決まるわけではありません。
日射量、角度、影、汚れ、風通し、ケーブル、ポータブル電源側の入力制限によっても変わります。
また、温度係数が良いパネルでも、開放電圧や出力端子が接続先に合わなければ使えません。
製品を選ぶときは、温度係数だけでなく、開放電圧、最大動作電圧、最大動作電流、出力端子、重量、サイズも合わせて確認します。